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水球ってどんなスポーツ!?試合を10倍楽しむための観戦ポイントと基本ルール

スポーツ

2014年のリオオリンピックで初のオリンピック出場を果たし、これから盛り上がりが期待されるスポーツ、水球。オリンピックで初めて水球の試合をテレビで見たという人は多いのではないでしょうか?

とは言っても、「水球=プールでやるハンドボール」くらいの認識しかなかったりしませんか。せいぜい、「数年前に『水球ヤンキース』ってドラマがあったなあ」というくらいの認知度かもしれません。

そういわれると、意外とルールも知らないし、何人でやるスポーツなのかも知らない…

そんな「水球観戦初心者」の方が楽しく応援できるように、水球の基本的なルールと観戦ポイントをまとめてみました。

 

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そもそも水球ってどんなスポーツ?

「プールでやるハンドボール」というイメージは、あながち間違いではありません。プールに作られたコート内で、2チームがそれぞれ相手陣営に攻め込み、ゴールにシュートを決めれば得点です。得点の多い方が勝ち。

ですが、実際にはハンドボールよりかなりハードです。

まず、水中で行われる時点で選手はずっと泳ぎっぱなしです。プールの水深は2mなので、足を付けることはできないのです。相当の体力を使います。

そして、水中ではかなり激しいボディコンタクトが行われます。水球が「水中の格闘技」と呼ばれるゆえんはここにあります。水面上で目に見える部分で行われている競技と水面下で行われている所作はまったく別物と言っても過言ではありません(笑)

陸上のスポーツだと、見えない部分である「ブラックボックス」は存在しません。サッカーでもラグビーでもバスケットボールでも、相手と接触があるスポーツは厳しくファウルの規定がなされていて、選手たちの頭のてっぺんからつま先まですべて審判の厳しい目にさらされているわけです。

水球にも当然厳しいファウルの規定はありますが、いかんせん審判の目に見えるのは水面より上の部分だけ。当然ジャッジもその部分でなされるのです。水面下はいわばブラックボックス。無法地帯。なんでもアリなので、こんな激闘が行われていたりします↓

水面をはさんで、上はハンドボール・下は格闘技といったかんじでしょうか。

選手たちは、この水面下の激しい闘いを制しながら、相手ゴールへと挑んでいくのです。

華麗なボールさばきで試合を進めている選手たちが、実は水面下ではこうした体を張った闘いを繰り広げているというのを想像しながら試合を見ると、よりその迫力を楽しめるはずです。

 

水球のルール

基本的な水球のルールを見ていきましょう。

水球の基本

1チーム7人~最高13人まででチーム編成がなされます。試合に出ることができるのは7人。そのうち1人はゴールキーパーです。

水中競技なので、ユニフォームはありません。そのため、キャップ(帽子)の色(青か白)でチームを判別します。ただし、ゴールキーパーは両チームとも「赤」のキャップを装着します。

ゴールキーパー以外の選手は、片手でしかボールを扱えません。両手でつかんだらファールです。握りこぶしでボールをパンチングするのもファールです。

試合時間は8分×4ピリオド。「8分計」と呼ばれる時計で時間を計ります。8分から減算していく時計なので、時計に表示されている時間は残り時間ということになります。1ピリオドと3ピリオドのあとに2分間のインターバル、2ピリオドのあとに5分間のハーフタイムがあります。ハーフタイムでコートチェンジをします。

4ピリオドまで終わって同点の場合には、3分×2ピリオドの延長戦へ。延長戦でも決着がつかない場合にはペナルティーシュート戦で勝敗を決めます。

試合時間とは別に、水球には「攻撃時間」というのがあります。攻撃時間は30秒。攻撃中のチームは30秒以内にシュートまでもっていかなければなりません。時間かせぎでボールを回すことはできないのです。「8分計」とは別に「30秒計」という時計があってそれで計ります。ただし、1回でもシュートを打ったり、相手にボールを取られたり、ファールがあった場合にはこの30秒計はリセットされます。

タイムアウトが取れるのは、攻撃中にかぎり1試合に2回だけです。タイムアウトの時間は1分間。しかも、タイムアウトを要求したチームの監督しか指示を出せません。バレーボールとかバスケットボールだと片方のチームがタイムアウトを要求すると、要求していない方のチームも監督の方に行って指示を受けることができますが、水球はそれができないのです。

試合の開始は、自陣のゴールラインに並んだ選手たちがコートのセンターに浮かべられたボール(センターボール)に向かって泳いでいき、先にセンターボールを掴んだチームが攻撃権を得てスタートします。早い者勝ちですね。

ファール

水球のファールの規定は、けっこう細かいです。大きく分けると「オーディナリーファール」「パーソナルファール」の2種類あって、オーディナリーファールは割と軽いファール、パーソナルファールは重いファールです。代表的な行為をざっくりとあげてみます。

オーディナリーファール

オーディナリーファールを取られると、相手方にフリースロー権が与えられます。

【攻撃チームのオーディナリーファール】

・攻撃しているチームが30秒以内にシュートできなかったとき

・両手でボールを扱ったとき

・握りこぶしでボールを扱ったとき

・ボールを水の中に沈めたとき

・相手競技者の上を泳いだとき

・相手競技者を押したとき

・フリースローでフェイントをしたとき

・フリースローを敵陣のペナルティエリア(ゴールから5m以内)で直接シュートしたとき

・オフサイド

【守備チームのオーディナリーファール】

・ボールを持っていない相手競技者の手足の自由を奪うような行為をしたとき

・ボールを持っていない相手競技者を押したとき

・相手競技者の上を泳いだとき

このように、オーディナリーファールの設定は圧倒的に「攻撃側」が多いです。逆に守備側は極端に少ないですよね。特にボールを持っている選手へのファールがほとんど規定されていないというのが水球のすごいところではないでしょうか。あまりにもひどい暴力行為みたいなものは当然重い「パーソナルファール」で取り締まられますが、ある程度はボール保持者に対してボディコンタクトをして守備をすることは認められているわけです。サッカーやバスケットボールとは正反対ですね!

パーソナルファール

パーソナルファールは、より重いファールです。パーソナルファールを取られると、一定時間試合を退場しなければならず(退水)、人数的に不利な中で試合をしなければならなくなります。

パーソナルファールにはエクスクルージョンファールペナルティファールがあります。

【エクスクルージョンファール】

・ボールを持っていない相手競技者を沈めたり引っ張ったりする行為をしたとき

・フリースロー、コーナースロー、ゴールスローを妨害したとき

・自陣のペナルティエリア外(ゴールから5mより外)で、相手のシュートやパスを両手で妨害したとき、もしくはしようとしたとき(妨害が成功しなくてもファールとなる)

・ゴールラインを触ったとき

・相手競技者をわざと殴ったり蹴ったりしたとき

・競技中に勝手にプールから出たとき

プール内のコートの端には、「退水ゾーン(再入水ゾーン)」という場所があります。パーソナルファールを取られた選手は、20秒間もしくは自分のチームが攻撃権を得るまで、この退水ゾーンでじっとしていなければなりません。

そして、同じ選手が1試合に3回パーソナルファールを取られると、その試合には出られなくなってしまいます。永久退水、略して「永退」と呼ばれます。

乱暴なプレーを続けたり、審判に従わなかったりした場合には、3回のパーソナルファールを待たずに即「永退」になってしまいます。

 

【ペナルティーファール】

・ペナルティーライン内で相手のシュートを反則で妨害したとき

・ペナルティーライン内で相手のパスやシュートを両手で妨害したとき(しようとしたとき)

・ゴールを沈めてシュートを妨害したとき(←さすがにそんな人いないと思いますが!過去にあったのでしょうねー笑)

・退水中の競技者がコート内に入ってきて競技を妨害したとき

その反則がなければゴールが決まっていたと判断されるファールに対しては、ペナルティーファールが課せられます。ペナルティーファールを取られるとファールされた側のチームにペナルティースローが与えられます。サッカーで言うPKですね。誰にも邪魔されずゴールキーパーと1対1で対決、シュートを打てるのです。

ちなみに、ゴールキーパーもしくは守備側の選手が、相手のシュートを入れさせないためにゴールを完全に倒してしまうと、永退になるというルールもあります!これも「ゴールを沈める」同様、かなり破天荒な妨害方法ですが、昔やった選手がいたんでしょうかね?笑

 

水球のポジション

水球にもポジションがあります。適当に動いているわけではありません。

ゴールキーパー

ゴールキーパーは当然ゴールを守るのが仕事なので、ゴール前に陣取って相手のシュートを阻止するのが仕事です。GKと表示されます。

フィールドプレーヤー

ゴールキーパー以外の6名がフィールドプレーヤーです。コート内を自由に泳ぎ回り、攻撃や守備に奔走します。FPと表示されます。

このフィールドプレーヤーの中で、さらに細かい役割分担があります。

フローター

攻撃の要センターフォワードとも呼ばれます。相手のゴール前に陣取ってシュートを打ち得点するのが仕事です。他のFPは、このフローターにパスを集めるようにします。

フローターバック

守備の要。センターバック、トップとも呼ばれます。相手チームのフローターをマークして、その攻撃を防ぎます。守備の要であると同時に攻撃の起点となるので、攻撃の指示を出すなど司令塔としての役割も担います。

ドライバー

他のフィールドプレーヤーはフォワード(ドライバー)として、攻撃時にはコート内を泳いでマークを外しながらパスを受け、自分でシュートを狙ったりフローターにボールを集めたりします。こうしたドライバーはコートの左右に展開し、パスを回したりして相手チームのディフェンスの隙をついてシュートを狙います。

 

試合観戦を楽しむためのポイント

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細かいルールはありますが、水球の基本は相手方のゴールにシュートを入れて得点すること。ボールのスピードはなかなか速いので、それを目で追うだけでもけっこう迫力を感じることはできると思います。

そして、ここではより水球の醍醐味を楽しめる観戦ポイントをご紹介します。

ボールさばき

水球は、ゴールキーパー以外はボールを片手でしか触れません。これは攻撃側も守備側も同じです。試合を見ていると、みんな片手を高く上げて動いているのがわかります。

パスやシュートをする際、この片手でのボールさばきがとても華麗な選手を見ると「うまいな~」と感嘆します。

パス回し

パスは受け手にドンピシャで出す場合と、サッカーのようにスペースに出す場合(受け手がこれから動く方向の水面に落とすように投げる場合)があります。

パス回しが速い攻撃を見るのも楽しいです。相手のディフェンスをかわすため、正確でスピーディーなパスを回していく様子は迫力を感じます。しかも、水中ではディフェンスの猛攻を受けながら正確なパスを出していると思うと、より一層すごく見えるでしょう。

シュートを打つときの打点の高さ

水球のプールは水深が深いので、選手はプールの底に足をつくことはできません。水に浮かんだ状態です。

シュートを打つときには、選手はその水中に浮かんだ状態から、大きく水面高くジャンプするのです。足を底につかずに水中でジャンプ。しかも相手のディフェンスを超えるようにできるだけ高く。

これは水球観戦の一番の醍醐味と言ってもよいでしょう。片手でボールを掴んだ状態で、水面から大きくジャンプして、ゴールに向かって速球を投げ放つ。鍛え抜かれた上半身とあいまって、迫力満点のワンシーンを見ることができる瞬間です。

笛がやたらと鳴る

水球の試合を見ていると、笛がやたらと鳴っていることに気付くと思います。それだけオーディナリーファールが多いのです。

でも、笛が鳴っても選手はそのまま試合を続行しているように見えます。オーディナリーファールをもらうとフリースローが与えられるので、笛が鳴ってもそのままその次のパスをフリースローとして続けることがほとんどのようです。頻繁にファールを取られるので、いちいち試合を止めていたら進まないということでしょうね。

観戦するときには、笛が鳴ったら「あ、今オーディナリーファール取られたんだな」と意識してみると、だんだんファールのポイントが分かってきておもしろいでしょう。

「エクスクルージョン」=退水は試合がスピードアップするポイント

審判が「ピピピピピーッ!」と激しく笛を鳴らすと、エクスクルージョンファールのサインです。笛を鳴らしたあとに、「エクスクルージョン、アゲインスト○○(チーム)ナンバー□□」というアナウンスが流れます。これは、○○チームの□□番は退水という意味です。「エクスクルージョン」のアナウンスが流れたら、チームの人数が一人減るんだということを覚えておきましょう。

退水で守備が一人減った状態は、攻撃側にとって大きな得点チャンスなので、試合がスピードアップするポイントです。

パスラインディフェンスからのカウンター攻撃

日本代表男子の戦略のひとつです。フィジカルだけで見ると、日本人の体型で海外の選手とまともにやりあっても勝ち目はないということで、「パスラインディフェンス」からのカウンター攻撃を最大の戦略としています。

ふつう水球のディフェンスは「ゴール」を守る陣営を取るのですが、パスラインディフェンスでは相手のパスコースの間に入ってパスカットを狙い、ボールを奪ってそこから一気にカウンターで攻めあがるというスタイルです。

相手に抜かれてしまうとゴールまでのラインががら空きになるという大きなリスクがあるので、かなり破天荒で型破りな戦略と言われています。選手の運動量も相当大きくなるので、スタミナも必要です。

日本代表男子の試合を見るときには、この戦略を頭に入れておいて観戦するととても面白いはず。

パスカットからカウンターがバシッと決まったのを見ると、なんとも言えない爽快感がありますよ!

 

おまけ

独特な形のキャップ

大人用 水球キャップ(Amazon)

水球のキャップは、競泳用のキャップとはなんか違いますよね。

水球用のキャップにはプラスチックの耳あてが付いているのです。鼓膜が破れないように耳を守るための仕様です。水球がどれだけ激しいスポーツかということが分かりますね。

ちなみに、外れないようにあご紐も付いています。

水の中では「巻き足」

水深が2m以上のプールで行われる水球は、当然足をプールの底につくことはできません。

コート内を泳いでいるときはいいですが、止まっているときはどうやって浮かんでいるのでしょうか。

答えは「巻き足」です。足をパカッと広げて左右の足を交互に回転させます。体を立てた状態で平泳ぎの足の動きを交互にやる感じです。シンクロの人もやっているいわゆる立ち泳ぎの泳法です。

水球はこの巻き足ができないとお話になりません。

水球を英語で言うと「water polo(ウォーターポロ)」

水球を英語で言うと、なんとなく「water ball」かなと思っていたのですが、全然違いました(笑)。

water poloだそうです。polo(ポロ)とはイギリスが起源のスポーツで、馬に乗ってスティックでボールを打ちながらゴールに入れるという競技です。ラルフローレンのマークのモチーフですね。

どうやら、このポロを水中でやるバージョンが水球ということらしいです。

水球をやっていた芸能人

芸能界で水球と言えば、吉川晃司ですね。私がはじめて水球という競技を知ったのも、昔テレビで吉川晃司が「水球をやっていた」といって紹介されていたのを見たときだと思います(笑)。たしかに、吉川晃司の逆三角形体型は水球っぽいです。

サッカーの本田の物まね芸人、じゅんいちダビッドソンも水球をやっていたそうです。サッカーじゃなくて水球なんですね。

 

まとめ:まずはこれだけ押さえよう!

日本だとこれまでほとんど注目されることがなかった水球。ほとんどの人はルールもよく分からないと言ったところでしょう。

細かいファールを全部覚えようとか、選手のポジションを全部覚えようとかしなくても、水球観戦は十分楽しめます。

応援するチームのキャップの色を確認

スピーディなパス回し

シュートの迫力

シュートが入ったら思い切り喜ぶ

相手チームが退水で一人少なくなっているときは最大の得点ポイントなので見逃さない

最初はこのあたりのポイントだけ押さえて観戦してみましょう。

そして試合を何回か見ているとだんだん、「攻撃時間が残り少ない!早くシュート打てよ~!」とか、シュートの打ち方が選手によって違うとか、ドリブルがうまい選手とか、相手のディフェンスをかわすのがうまい選手とか、今絶対水中でかなりボコボコにやりあってるなとか、相手のディフェンスが鉄壁でボールを全然中に入れられないとか、そういう細かいところも見えてより一層楽しめるようになってきます。

これをきっかけに、水球というスポーツの魅力にはまってしまうかもしれませんよ!

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