リスクヘッジという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
株式などの投資を行う上では絶対に欠かせないのがこのリスクヘッジですが、投資経験がなくても、なんとなく「リスクを回避することだろうな」くらいの認識はあるかと思います。
実際その通りで、リスクヘッジとは、リスク(将来の不確実性)に対してそのリスクを回避する、もしくはリスクを減らすために行うものです。
リスクヘッジとは
一般的に言われるリスクヘッジの代表的な例を挙げてみましょう。
ある会社の株を買っている人がいます。その人は株価が上がることを期待して株を購入したわけですが、将来的には上がるか下がるかは「不確実」です。当然下がる可能性もおおいにあるのです。実際には、あれこれ調べたうえで「上がる!」と見込んで買うのでしょうが、それでも「下がる」ことがあるのがマーケットです。上がれば利益になりますが、下がれば損失になります。
リスクヘッジとは、ここで毎晩神様にお願いをして「株価が下がること(リスク)が起こらないようにする」のではなく(そんなことは不可能なので)、逆に株価が下がっても平気な状態にしておくということを指します。
メジャーなやり方ですと、株を買うと同時に日経225の先物を売るという方法があります。たとえマーケットの状況が悪くなって保有株の株価が下がったとしても、先物の売りで利益を得ることができるからです。悪くても株の損失を先物の利益で相殺して、トントンで逃げることができます。
リスクヘッジとは考え方
投資経験のある人にとっては至って普通の考え方なのですが、逆に投資経験のまったくない人にとっては実は意外と馴染みのない考え方でもあります。
人は、悪いことが「起こらない」ようにしようと努力します。
それがすでに、逆の考え方なのです。悪いことが「起こっても全然平気」なようにしておくことが大事なのです。
それが巡り巡ると、どういうわけかあなたを悩ませている「悪いこと」自体が起こらなくなってくるから不思議です。
人生のあらゆるものにリスクヘッジを取りいれよう!
嫌だなと思うことに縛られがち
自分の今の悩みを考えてみてください。「○○したい」というプラスの方ではなく、「××したら嫌だな」というマイナス方向の悩みはありますか?
給料が下がったら嫌だな
病気になったら嫌だな
フラれたら嫌だな
会議のプレゼンで失敗したら嫌だな
試験に落ちたら嫌だな
怒られたら嫌だな
太ったら嫌だな
挙げればキリがありませんが、このように日々「××したら嫌だな」と自己暗示をかけている人がけっこう多いような気がします。
実は私もそうでした。そんなことばかり気にしていたために、自分が自分にものすごく大きなストレスを与えていたのです。「××したら嫌だな」までだったらそんなに大きなストレスにはならないのですが、問題はこの先なのです。
「××したら嫌だな」→「××しないようにしなくちゃ…」
これが、なんとも綱渡りのような精神状態を生み出してしまうのです。
給料が下がらないようにしなくちゃ…
ぜったい失敗しないようにしなくちゃ…
怒られないようにしなくちゃ…
こんなことばかり年がら年中考えていては、ストレスは溜まる一方です。
なぜかと言うと、「100%××しない方法」というのがあり得ないから。あなたの給料は100%下がらないかというと、そんなことはありません。100%失敗しないことも、100%怒られないこともあり得ません。「努力すれば確率はあげられるだろう?」という人がいると思いますが、それはその通り。でも、それでも、100%はあり得ないのです。せいぜい100%にいかに近づけるかということくらいです。
100%は「ない」ことを知る
100%が無理なのに、100%を目指すから苦しい思いをするのです。
もちろん、100%を目指して頑張るのはいいのですが、そこにばかり執着してしまうと、達成できなかったときの挫折感や敗北感があまりにも大きく、今度はそれに苦しめられることになるのです。
たとえば。私の例ですが、一時期歩合制の仕事をしていました。やり始めた当初は面白くて、やればやっただけお給料に反映されるのも嬉しくて、頑張って仕事に取り組んでいました。
その状態がしばらく続くと、今度はそこから「落とさない」ことに躍起になり始めました。たまに結果が思うように出ないときがあったりすると「あーでもない、こーでもない」と考えて、なんとか全盛期の状態を保てるようにと日々試行錯誤しました。
こうした試行錯誤ももちろん自分がパワーアップするためには必要です。ですが、あるきっかけでそれが「恐怖」へと変わっていくことになってしまいました。
自分以外の外部環境に変化があったために、以前のように順調に結果を出すことが難しくなってしまったのです。それでも、自分さえ頑張れば、自分がもっと工夫をすれば、以前と同じくらいの結果が出せるのではないか、出せないのは自分の努力が足りないからではないかと考えてアレコレ踏ん張ってやってみたのですが、結局何も変わらず。
挫折感だけが残り、結果は無残なものでした。当然お給料は減って、今度はそちらの心配もしなくてはいけなくなりました。
どうでしょう?誰でも一度は経験するような話だと思います。ここで、この状態とどう向き合うかということです。
リスクが起こることを拒否し続け、さらに試行錯誤を繰り返して疲弊していくのか。
それとも、リスクが起こることを受け入れて「それならそれで仕方ないな」とした上で、別の方法でそのリスクをマイルドにする方法を選ぶか。
言うまでもなく、リスクヘッジという考え方は下の方です。
私の例で言えば、もう変わってしまったものは仕方がないので、それはそれでもう流れに身を任せることにして別の収入源を手に入れました。
ひとつの仕事に猪突猛進しているときには気づかなかったのですが、別の収入源から得られる面白さと金銭は想像以上に心に安定感をもたらしてくれました。今は収入源を大きく分けると3つに分散しています。
3つそれぞれ違った面白さがあるので勉強する意欲もわきますし、どれかひとつがダメになってもどうにかなるという安心感は非常に大きいです。
試しにやってみて!生活にリスクヘッジを!
「これじゃなきゃ、絶対ダメなんだ!」と思っている人は、その執着している心に一度聞いてみてください。「別に、これじゃなくてもよくない?」「別に、これがダメになってもよくない?」
きっと心は「ダメったらダメ!!!」と必死の抵抗をしてくると思うのですが、ものごとに100%があり得ない以上は、その「絶対ダメ!!」と頑なに思っていることも受け入れなければいけないときはあるのです。
と、ここまで言っても受け入れられない人がいるはず。それはなぜかと言うと、リスクヘッジをしていないからです。逆に言えば、リスクヘッジをすれば受け入れることはずっとたやすくなります。
小さいことから取り入れよう
最初から重い問題に取り入れるのは心理的にキツイでしょうから、まずは小さなこだわりからリスクヘッジの対象にしてみてはいかがでしょうか。
たとえば、お腹が空くのがイヤだから会社にちょっとしたおやつを常に買い置きしておかないと気が済まないという人。
まあ、どうでもいいと言えばどうでもいい話ですが(笑)、こんなことでも意外と本人にとっては重要なこだわりだったりするのです。ここで、「おやつの買い置きを切らさない」ようにすることも大事なのですが、「おやつを食べなくても平気」な状態にしておくことで「おやつ買い忘れ」というリスクをヘッジできるわけなのです。
たとえば、朝ごはんをたくさん食べるようにすることもひとつのリスクヘッジです。お腹が空いても気にしない精神状態にするというのもひとつのリスクヘッジですね。お腹が空いて手持ちのおやつがないなら、同僚に分けてもらえるような環境を作っておくというのもリスクヘッジなのです。
「おやつの買い置き」だけで、3つもリスクヘッジの方法が出てきました。どうですか?リスクヘッジをせずに自分のおやつの買い置きにこだわり続けるのと、リスクヘッジをしておやつの買い置きに捉われずに、それでも特段不自由なく生活するのと、どちらがいいですか?
リスクヘッジの考え方をするようになると、リスク自体が怖くなくなる
リスクヘッジの一番の効果は、「リスク自体を怖がらなくなる」という点です。私たちが何かに悩み苦しむとき、目に見えないものと戦っているのです。それが「恐怖」です。
目に見えないからこそ消し去るのが大変なのですが、実は目に見えない=実態のないものであることが分かれば、それに対して悩んだり苦しんだりしても仕方がないことに気付くでしょう。
しかも、不思議なもので「リスクが起こってもいい」と思っていると、そのリスクはどういうわけか起こらなくなったりするのです。怖くなくなるから起こっても気にならなくなるのか、それとも本当に起こらなくなるのか、それは定かではないのですが、どういうわけか不快な悩みから解放されるのです。
そして、ちゃんとリスクヘッジをしているからこそ、リスクが起こってもいいという心理状態になることができるというわけです。
小さいことからで構わないので、ぜひこのリスクヘッジ的考え方を取り入れてみてください。無料で時間もかからずにできるので(笑)、これで気持ちがちょっとでも楽になったらラッキーというやつです!
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