浅草寺への初詣などで冬場に浅草を訪れる方におすすめなのは、冷え切った体を芯から温めてくれる和スイーツ、「おしるこ」です。
体が温まるだけでなく、あんの甘さは歩き回って疲れた体を癒してくれますし、お餅が入っているのでちゃんと満腹感もあります。冬に外を歩き回った体が欲しているものを、すべて兼ね備えた一品と言えるのではないでしょうか。
浅草でおしるこを食べるならココ!という甘味処3店に実際足を運んでみました。
「おしるこなんてどこで食べても同じだろー」と思っていたのですが、この3つのお店はどれも異なる特徴があります。好みによって、立ち寄ってみるお店を選ぶ参考にしてみてください。
ただし、私は断然こしあん派ということもあって、3店ともこしあんのおしるこでレビューしていますので、ご了承ください。
浅草 梅園の「御膳しるこ」と「あわぜんざい」
「甘味ならここへ行けば間違いない」というくらい、名実ともに浅草の甘味処のナンバーワンと言えるのが「梅園」です。
創業はなんと1854年!由緒正しいなんてもんじゃありません。160年もの長い歴史がある甘味処なんです。
雷門から浅草寺へと続く仲見世通りの1本裏手にある「梅園」は、ロケーションとしても最高の場所ですね。浅草寺への参拝の帰り道にそのまま立ち寄れます。「寒くてもう歩けない~」なんて場合には重宝します。ただし、人気店なので混雑して並ぶ可能性はありますが。
店頭では持ち帰り用のおみやげ商品を販売しています。横にショーケースがありますので、そこでメニューをチェックしましょう。店内に入ると、まずはレジカウンターで食券を購入してから席に着きます。
さっそく「御膳しるこ」を食べてみました。640円(税抜き)です。
浅めのお椀いっぱいに、なみなみと入れられたおしるこが出てきました。箸休めには「しその実」。まずは両手でお椀をそーっと持ち上げてしるこをすすります。かなり濃密なこしあんです。
お餅は3cmくらいのものが2つ。「焼いて膨らませてある」のではなく、密度が高いかんじで、食べごたえはかなりあります。
おしるこの甘さはかなり強いのですが、お餅の存在感も大きいので、一緒に口に含むとちょうどいいですね。とは言っても相当甘いですけれど。
おしるこの濃さは他店と比べても圧倒的ではないでしょうか。どちらかというとドロっとしていて、「ゆるめのこしあん」と言ってもいいくらいです。こしあん好きにはたまらないはず。
* * *
そして、実は「梅園」と言えばこれ、「あわぜんざい」。おしることは違いますが、なんとなく似ていなくもないので(笑)、いきなり番外編的にご紹介しちゃいます。
はっきり言って、ものすごーく美味しいです。お値段は720円(税抜き)。
おしるこのお椀よりも1回り小さい、深めのお椀に入って出されました。
こってりと盛られたこしあんの輝きにうっとりします。そして、下に見える黄色い部分は「餅きび」。「あわぜんざい」という名前ですが、粟ではなく「きび」で作られているそうです。
あんこもきび餅も、ほんのりとした温かさ。きび餅は粒がやや残っている状態で、完全な「餅」というよりは、「練ったきび」という感じです。このきび餅はほんのりと甘く、ものすごくもっちりしています。粒のぷちぷちした食感も、いいアクセントになっています。
そしてあんこは、これまた濃厚なこしあん。ずっしりした質感です。ただ、おしること比べるとやや甘さ控えめに感じました。熱々じゃないからかもしれませんが。
口の中で「あんこ」と「きび餅」がねっとりと混じり合い、味も食感もこれまで味わったことのないような世界が広がります。
さすが、160年もの長い間「おいしいおいしい」と食べ続けられた味というのは伊達じゃないですね。
住所:東京都台東区浅草1-31-12
TEL:03-3841-7580
営業時間:10:00~20:00
定休日:不定期で月2回水曜日はお休み
浅草 梅むらの「御膳しるこ」
続いては、浅草寺の北側、歩いて5分ほどのところにある「梅むら」。「豆かん」で有名な、こちらも老舗の甘味処です。
雷門近辺の喧騒からはやや離れた細い路地の一角に立っています。その佇まいからして、古き良き下町の甘味処の風情がビシバシ感じられますね。
中はカウンターが8席くらい+お座敷がテーブル2つ。昔ながらの造りです。
看板にもバッチリ記されている「御膳しるこ」をいただきました。お値段は670円(税込み)です。
思ったよりも小ぶりのお椀で出された御膳しるこ。ふつうのお味噌汁のお椀くらいの大きさです。
お餅は3cm四方くらいのものが2つ。コシが強いよく伸びるお餅です。
そして、肝心のおしるこですが、こしあんが「とろーり」としていて舌触りがとにかく素晴らしい。口に残るあんはサラサラで、コクと甘みがあってとっても濃いんですが、その割にのどごしがサラッとしている印象です。
このこしあんのツヤがいいんですよね~!キメが細かくてなめらかな証拠です。
不思議だったのは、食べている最中はかなり強く甘さを感じたのですが、後まで引くようなくどさがないこと。口の中にしつこく甘さが残らないんです。
分量も、熱さも、言うことなしの「ちょうどよさ」。ひとつだけ言うなら、箸休めの「塩しそ」みたいなのがもう少しだけ多いと嬉しかったかもしれません(笑)。
有名な豆かんをお土産で買って帰るのもいいですね。
【梅むら】
住所:東京都台東区浅草3-22−12
TEL:03-3873-6992
営業時間:13:00~17:00(土曜と祝日は16:00まで)
定休日:日曜日
浅草 いづ美の「御膳しるこ」
雷門通り(雷門の前の大通り)を西方向へ200mほど歩いたところに、上品な店構えの「いづみ」があります。
店頭にはおみやげ用の商品が並んでいるので、一見「持ち帰り専門店かな?」と思ってしまいますが、奥にちゃんと喫茶スペースがあるのでご心配なく。
この日は平日の2時すぎという中途半端な時間だったこともあって、お店は空いていてゆっくりすることができました。ほかの老舗甘味処と比べると、なんとも小ぎれいで上品な雰囲気の店内です。
さっそく「御膳しるこ」を注文しました。780円(税抜き)です。
ここも、3cmくらいのお餅が2つ入っています。とにかくあっつあつ(笑)。いきなり口に入れると確実にやけどしますので、少し冷ましてから食べた方がいいでしょう、それでも十分あつあつを楽しめますから。
あんはとってもなめらかで、舌触りはさらりとしています。そしてとにかく、あんがたっぷり入っているので食べごたえは一番ありました。
特筆すべきは、その甘さ。ものすごく甘いです。あんこだから甘くて当たり前と思うのですが、食べたあともしばらく口に残るくらい主張のある甘さです。これは、甘いこしあん好きには堪らないのではないでしょうか。
あんの多さと甘さのおかげで、お餅が小ぶりにもかかわらず、この1杯でものすごく満腹感を味わえます。お餅の粘り気もばっちり。口に含むとほんのりと香ばしい風味が立ち込めるのもいいですね。
細かいことですが、箸休めの「しそ昆布」が重要な働きをしていることが分かりました。しょっぱいだけでなく非常にさっぱりした味なので、ちょっとしつこい甘さが残る口の中をさわやかにしてくれるのです。
「いづ美」はあんみつが有名ですので、店内ではおしるこを食べて、お土産用にあんみつを買って帰ってもいいかもしれません。
【浅草 いづ美】
住所:東京都台東区浅草1-8-6
TEL:03-5806-1620
営業時間:11:30~18:00(ラストオーダー17:30)
年中無休
和スイーツで体も心もぽっかぽか!
あったかいおしるこを食べると、体が温まるのはもちろんですが、なぜか心もホッとして落ち着きます。
あまーいあんこを口いっぱいに含んで、お餅でお腹を満たせば、寒さですっかり萎えてしまった心も元気いっぱいになります。冬の浅草観光をエネルギッシュに楽しめますよ!
▼浅草の「おいしいもの」はこちらの記事でもご紹介しています。
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