新学期が始まる時期や、夏休み・冬休みなどの節目の時期は、今まで使っていた学習教材を見直すいい機会です。
いまどきは教材の種類も豊富で、正直どれを選べばよいのか分からないという家庭も多いのではないでしょうか。
また、「うちの子は絶対に家ではやらないから、塾に入れちゃえ」という家庭もあるでしょう。
昔と比べると、小学生の勉強に関わる親(特に母親)の負担(時間・お金・労力・ストレス)は、体感的に5倍くらいになっているのではないでしょうか。
ほっといても勉強する子供はほとんどいません。子供は学校から帰ったら、勉強なんかしたくない、遊びたいというのが本音です。
遊びたい子供 VS 勉強させたい親
この戦いを制するために、どのような教材を選ぶのがよいのでしょうか。
なぜ、学習教材を使わなくてはならないのか
まず、そもそもなぜ学習教材を使わなくてはならないのか、根本から考えてみましょう。
教材を使う理由
1.家庭学習の習慣をつけたいから
2.学校の授業に遅れないようにするため
3.まわりがみんなやっているから
4.子供がやりたいと言ったから
5.学校の勉強じゃ物足りないから
これらの理由のうち、5に該当するのは「お勉強できる子」「中学受験も視野に入れて先取り勉強をしている子」が多いはずです。このパターンの子は自動的に勉強するタイプなので、どの教材を選んでも問題なくこなしていくことはできるでしょう。
なので、ここでは残り1~4の理由で教材を使っている家庭、そして、それにもかかわらず苦戦している家庭における「遊びたい子供 VS 勉強させたい親」の戦いを制する教材選びを考えてみました。
家庭学習の習慣は非常に大事!でも、宿題でも十分!?
家庭学習の習慣がついていないと、中学へ行ってから人一倍苦労します。特に新学習指導要領に変わって以降、勉強できる子とできない子の差はどんどん開く一方です。中学になったら必須の「テスト勉強」を自分でできない子供は、どんなに高いお金を払っていい塾に入れても結果を出すのは至難の業です。
では、小学生のうちから遊びや習い事を我慢して家庭学習に時間を費やすべきなのでしょうか。毎日怒鳴りつけながら子供に勉強をさせなくてはならないのでしょうか。
中学受験を考えていない小学生が、1日に1時間も2時間も家で勉強する必要はまったくありません。
やりたくない子供にムリに長時間勉強をさせようとすると、勉強すること自体が「罰」になってしまいます。
習慣という観点から見ると、どう考えても逆効果です。やらせようとすればするほど、やりたくなくなるのですから。
今どきの小学校で宿題が出ない学校はほとんどないはずです。量の多い・少ないはあっても、昔と違って1年生から毎日何かしらの宿題が出ているでしょう。
宿題は、強制力を持つ家庭学習です。しかも、今日学校で習ったところがちゃんと出されるのです。
灯台下暗し。結論としては、宿題だけで家庭学習は十分なのです。宿題ほど家庭学習の習慣づけにもってこいの教材はありません。
「宿題だけでは不安」という方もいるかもしれません。中学受験を考えているなら、はっきり言って宿題だけでは不足です。ですが、そうでない場合は、なぜ宿題だけでは不安なのか考えてみてください。意外と明確な答えは出ないのではないでしょうか。
漠然と「もう少しやらせないとまずいのでは…」という考えであれば、ちょっと考えなおした方がいいかもしれません。はっきり言えば、宿題以外に教材を1ページ余計にやるだけで他の子に大きく差をつけることなどできませんし、子供からしたら余計な負担が増えて学年が上がれば上がるほど勉強を「やらされること」が嫌いになってくるだけです。
イヤイヤ教材をやらされている子に「今日から勉強は宿題だけでいいよ!」と言ったらどうでしょう?ものすごく喜ぶのではないでしょうか。
その代わり、宿題だけは完ぺきに自分でこなせるようにする。宿題で分からないところは、お母さんがすぐに答えを教えるのではなく、教科書とノートを見直して自分で解決する力をつけさせる。それでも分からないときは、プリントなりノートなりに「どこがわからないか」を書いておいて、翌日先生に質問するようにする。
やりたくもない教材をダラダラやるよりも、宿題をうまく使って自分で考える力をつけさせた方が、中学・高校へ行ったときに10倍くらいの差が出るでしょう。
「そもそも教材は必要ない」という選択肢もとってみるべきです。
それでも教材を使いたい場合は、何を基準に選ぶべき!?
もちろん、全国津々浦々どの学校でもどのクラスでも、適度な量と質をキープした理想通りの宿題が出るわけではありませんし、こう言っては悪いですが宿題どころか先生の質にも当たりはずれがある昨今です。
3年生なのに宿題が教科書の音読だけとか、クラスの半分以上が中学受験で進学塾に通っているので5・6年生は学校が気を使って宿題は自主勉強のみ、というような学校・クラスがあるのも事実です。
そういう理由で、「何かしら家庭学習の教材を使わなくてはならない」というのであれば、選ぶポイントはただひとつです。
お母さんがやらせやすい教材を選ぶ
「子供がやりたがるから」「人気があるから」「内容がよさそうだから」
こうした理由で選ぶと、たいてい失敗します。
子供がやりたがるのは最初だけです。間違えてはいけないのは、子供は勉強がやりたくて「これやりたい!」と言うのではありません。新しいものを買ってもらえることが嬉しいから言うだけです。
人気がある教材というのは宣伝力がある教材というだけです。また、今どきはどの教材も内容が悪いものはありません。
「子供に合ったものを選ぼう」「口コミで評判のいいものを選ぼう」「内容をじっくり吟味して選ぼう」こうした点にばかり目が行ってしまい、大事なことを見落としていませんか。
何を選ぼうが、放っておけば子供はそのうちやらなくなってしまうのです。
なので、教材をやらせる=親の「やらせる力」が必要ということを忘れないでください。
それならば、親(とくにお母さん)がやらせやすい教材を選ぶべきです。
専業主婦で子供と向き合う時間がたっぷりあるお母さんであれば、通信教材などで根気よく子供に付き合って習慣をつけさせるというのもいいでしょう。
逆にフルタイムで働いていて時間がないお母さんはベタ付きで子供に勉強させるのは物理的に難しいでしょうから、タブレット教材や映像教材など少し小手先を変えたものにした方がいいかもしれません。
ライフスタイル的に、朝のこの時間ならプリント一枚強制的にやらせることができそうだな、と思うのであれば、量の少ないプリント教材を使うのがよいでしょう。
大事なのは、ある程度強制的に「自分でやる」ように仕向けやすいものを選ぶことです。何度も繰り返しますが、放っておいてやるようになるというのは幻想です。なので、教材の良し悪しを吟味する時間があったら、いかに心理的な強制を与えられるか、いかに自分でやるように仕向けられるかを考えた方がはるかに効果的です。
そして、強制力とは「やりたいとかやりたくないとか関係なく、やらなければいけないことなんだ」と子供の心理に働きかける力です。
宿題に強制力があるのは、そういう点からもわかりやすいですよね。
やりたいやりたくないに関わらず、やるもんだと思わせる。これこそが「遊びたい子供 VS 勉強させたい親」のバトルに勝つための方策なのです。
この強制力は、数が多くなればなるほど1つ1つにかかる力の度合いは減っていきます。
たとえば、学校の宿題以外に、通信教材と塾の宿題をやらなければいけないとしましょう。
学校の宿題だけの子供と比べて、強制の対象が2つ多いのです。それだけ強制力が分散してしまうので、たとえば学校の宿題だけなら100%の強制力で確実にやることができたであろう子が、学校の宿題33.3%、通信教材33.3%、塾の宿題33.3%と強制力が分散されることで、3つともやりたくなくなってしまう可能性がグッとあがってしまうのです。
なので、将来的な勉強嫌いを防ぐためには、できるだけ強制力をかける対象は1つに絞る方が有効です。
大事なのは「理解しているか」と「自分でできるか」だけ
理解していることを何度も何度も繰り返しやらせるのはナンセンスです。また、理解していないのに問題を解かせようとするのは、もっとナンセンスです(理解していなければ問題を解けるはずがない)。どちらも子供が勉強嫌いになる原因です。
授業でちゃんと分かっていることは、その場で何度もやる必要はありません。1年後くらいに「忘れていないか」チェックするために復習としてやればいい程度です。
もし理解していない箇所があるのであれば、問題を解かせようとするのではなく、理解していないところを理解できるようにしてあげるのが先です。親が教えるのには限界がありますし、中学生になったときに親が横についてテスト勉強を見てあげるわけにはいきませんので、「自分でできるようにする」方法を見つけられるようにしましょう。
宿題でも教材でもやることは同じです。
分からなければ、自分で調べる、自分で先生に聞く。基本はこれだけです。
これさえできればはっきり言って塾に行く必要はありません。逆に、これができない子であれば、塾に行っても思うように理解は進まないでしょう。
そして、宿題や教材は、その「自分でできるようにする」習慣をつけるための手段でしかありません。
家庭学習の核心はこれだけ!
家庭学習をちゃんとやらせないといけない!という強迫観念にかられてしまっては、核心の部分が見えなくなってしまいます。いろいろ書きましたが、結局すべて「手段」であって、本質は次の4つだけです。
1.宿題が十分に出ているのであれば、無理に教材をやらせる必要はない
2.むしろ宿題のみをしっかりやる方が、宿題+教材をおざなりにこなすより効果は大きい
3.宿題が少ない(出ない)などで教材をどうしてもやる必要がある場合は、お母さんがやらせやすいものを選ぶ(まわりや子供の意向よりもお母さんのやらせやすさを優先)
4.大事なのは勉強時間や勉強量ではなく、「教科書が理解できている」「自分で解決する力がついている」こと。これさえ出来ていれば、よけいに勉強する必要はまったくない
これらの項目に照らし合わせてみると、子供の勉強に関してストレスになっている部分というのは、実はこの核心以外の部分だったりすることに気付くはずです。
子供も親もストレス少なく、なおかつ結果を得るためには、この4つの項目を「勉強」の中心に据えておくだけでよいのです。
▼子供が通信教材をやらないので解約したい!という方はこちらの記事を参考にしてみてください。
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