仕事中無駄話ばかりしている同僚にイラッとする、家族の何気ない一言にイラッとする、駅のホームでどさくさに紛れて横入りしてきた人にイラッとする…
私たちの日常には、こういう小さな「イラッ」が溢れかえっています。
イラッとするのはもはや当たり前。でもこれを放っておくことで、小さな「イラッ」が自分の中でどんどん大きくなりエスカレートする可能性があります。万年イライラが収まらずに自分自身を苦しめるようになったり、さらには相手に対してキレてしまうことで関係が悪化してしまったり、果ては警察沙汰なんてことになってしまっては洒落になりません。
もともとは、日常どこにでもある小さな「イラッ」だったのが、適切に開放してあげないとどんどん蓄積していって濃いドロドロした感情となり、常に心が一触即発の不機嫌状態になってしまうのです。
それを防ぐには、日々の小さな「イラッ」をうまくその時その時で解放してあげることが大事です。「でも、どうやって??」という方へ、簡単にできるイライラ対処法をご紹介します。
なぜ人はイライラするのか
まず、私たちがイライラしてしまうときには、そこに必ず原因・対象があります。何もないところにイライラは生まれません。
物事がすべて自分の思い通りに動いていたら、イライラすることはないでしょう。「自分の思うように物事(人)が動かないから」「自分の意に反する物事が起こるから」人はイライラするのです。
では、イライラしないためには、すべて自分の思い通りに動くようにしたらいいということでしょうか。
実際には無理ですよね。世の中には自分ではコントロールできないことの方が圧倒的に多いのです。というか、自分がコントロールできることなんてほとんどないと言ってもいいでしょう。
だからこそ、私たちはこんなにも日々イライラしてしまうのです。コントロールしたいのにコントロールできないから、そのギャップにイラつくのです。
イライラは我慢した方がいいの?
イライラして気持ちいい人はいません。気持ちがいい方を選んでしまうというのは人間の摂理として自然のことと思いますが、こと「イライラ」に関しては逆にどんどん気分が悪くなるにもかかわらず、それでも人はイライラせずにはいられないのです。なぜでしょう?
ちょっと言葉のレトリックに聞こえるかもしれませんが、「イラッとしてもそれを我慢して抑え込む」より「イライラを心の赴くままに感じる」方が、実は「気分がいい」からなのです。
世の中コントロールできないことが圧倒的多数と言いましたが、実はこの自分の中に湧き上がる「イライラ」ですらコントロールできないのです。だって「よし、これからイラッとするぞ!」と思ってイライラするわけではなく、気づいたらイラッとしてしまっているわけですよね。
なので、「はっ!またイラッとしてしまった…ダメだダメだ、イライラしちゃダメだ…」と無理に自然発生してきたイライラを抑え込んでしまうと、そのイライラは行き場を失い心の奥底に蓄積されてしまいます。
なので、イライラしてしまったものはしょうがないと受け入れてあげるようにしましょう。
イライラ解消の最大のポイントは、「イライラしてもいいんだ」ということを覚えておくことです。
イライラを抑える必要なんてそもそもないんです。イライラをコントロールしようとすると、またそこに「コントロールしたいのに、できない!(怒)」という別のイライラ要素が加わってしまい、悪循環に陥ってしまいます。
イライラを抑えようとすればするほど、イライラが止まらない。この仕組みさえ分かれば、いっときは「ムキーッ!!!ムカつくムカつくムカつく!!!」と思うでしょうが、それすらコントロールできないものだということを知ってさえいれば、自然と心は落ち着いてきます。
それでも、イライラするのがしんどい場合には?
いくら「イライラするのは自然なことだよー」とは言っても、あまりにも日々「イラッ」とする回数が多ければ心がしんどくなることは否めません。
でも、よく考えてみてください。自分がイラッとするシチュエーションで、他の人はイラッとしていない場合もありますよね。
イライラが発生する背景には「基準」がある
たとえばコンビニのレジでモタモタしている店員を見て、「早くしろよー!」とイライラする人と、別に何とも思わない人がいるわけです。イライラする人にとってその理由はなんでしょうか?
1.そのときたまたまムシの居所が悪かった
2.自分の基準として、接客でモタモタするなんてことはあり得ない
1はもうしょうがないですね。機嫌のいいときにあたっていれば別にイライラせずにすんだでしょうから、事故みたいなもんです。おそらくそのときはイライラしても自然とすぐに忘れるので放っておいて大丈夫です。
では2の場合はどうでしょうか?2の人は毎回同じシチュエーションでイライラするはずです。まずはそれを自覚しましょう。
ある物事にイラッとした場合、自分は毎回これでイラッとするんだなと言うことが分かれば、あなたの基準が「そこ」にあるということです。
同じシチュエーションでもイラッとしない人は、そこに基準がないというだけのことです。なので、もし本当にイライラしたくないのであれば、その基準を変えるだけです。基準を緩くするのです。
「基準」を相手から自分にずらす
ただし、この場合レジの店員に対して基準を緩めるのではなく、あくまで「自分」に対しての基準です。
たとえば「接客でモタモタするなんてことはあり得ない」という価値観(基準)を持っている人がいきなり「接客でモタモタしても構わない」とは思えないですよね。すんなり思えるならそもそもイラッとしないはずです(笑)。
なので、「接客でモタモタするなんてことはあり得ないけれど、それによって自分に何かマイナスの影響はあるのか?」という自分に対しての新たな緩い基準を作ってあげるのです。基準を自分の方に横にずらすのです。
レジの店員に限らず、すべてのシチュエーションにこれは当てはまります。「それはムカつくよ、でもこれって自分にマイナスの影響はあるだろうか、いや特にないな」という新基準を作ってしまうとかなり無敵になります。
「単なるイライラ」と「問題」を客観的に切り分ける
もうお分かりかと思いますが、この「自分にマイナスの影響があるかどうか」という新たな基準を設けることによって、あることが明確になってきます。
自分の感情論だけでなく、客観的に見て今自分が直面している問題に対して何か対処をすべきかどうかという線引きになるのです。
たとえば、上に書いたコンビニの店員がレジで接客にモタモタしていることは、自分が「そういう人はイヤだ」というだけの話であって、特にそれでマイナスの影響はありません。なので、一瞬イラッとするでしょうが、「あ、これは自分に特にマイナスの影響はないんだ」と思えばそれで終わりです。
逆に、1分後の電車に乗らなければいけないのに接客をモタモタされていると、それは自分にマイナスの影響をもたらしますよね。そうなると、これは「何らか対処をすべき問題」に昇格するわけです。「急いでいるんで、早くしてもらえますか?」と言うなり、そのコンビニで購入するのをやめて電車に間に合うことを優先するなり、対処ができるわけです。
仕事でも、家庭でも同様です。
自分がイライラしている対象は、単純に自分が気に入らないだけなのか、それともそれによって自分にマイナスの影響が出てくることなのか。それをイライラしたときに考えるようにすれば、延々とイライラに悩まされることは大幅に減るはずです。
自分にマイナスの影響が出てくるのであれば、放っておかずに場合によっては相手に対して怒ったり意見を言う必要もあるでしょう。
この場合、怒ること・意見を言うことは決してネガティブなことではなく、むしろ物事を前進させるのに必要なことなのです。問題解決につながれば、それによってイライラすることも減っていくはずです。
「イライラ」という感情への対処法まとめ
1.まず自分のイライラする基準を知ること
→そのためには、イライラを抑え込まない
2.そしてそれが自分にとってマイナスの影響を及ぼすかどうかを判断する
→新たな基準
3.マイナスの影響を及ぼすものでなければイライラは放っておく
→そうすればすぐ収まる
4.逆に自分にとってマイナスの影響があることであれば注意したり意見したり、あるいは自分がそれを回避するような行動をすることによって、ものごとを解決に結び付ける
→イライラも収まり、問題も解決して万々歳
ただ闇雲に、イライラしたからと言って感情にまかせてすぐに怒ったりクレームを入れたりするのではなく、ほんのちょっとした「判断」を間に挟みこんであげるだけでイライラの収まり具合は全然変わってきます。
再度同じようなことが起こったときに、今度はイライラしなくなっているかもしれません。
人間だれでも気持ちよく生きていたいものです。でも、無理矢理イライラを鎮めようとするのは逆効果なのです。まずはイライラしてもいいんだ!と知ること。そしてイライラ→即キレるに直結しないためにも、小出しにその場でイライラを解放してあげることは大事です。
「これって、自分にとってマイナス?それとも特にマイナスじゃない?」
イライラしているときに、この言葉をちょっと思い浮かべてみるようにしてください。
それだけでもけっこう「なんだ、けっこうどうでもいいことにイライラしてんだな」と思えて、急激にクールダウンしたりするはずですよ!
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