夏は暑くて当たりまえ。汗をかいて当たりまえ。
当たりまえとは分かっていても、洋服に染みができてしまうほど汗をかいてしまうと、やっぱり恥ずかしいですよね。
特に脇汗は、場所が場所だけに他の部分にかく汗よりも恥ずかしさが3倍くらいになります。
そんな脇汗を抑える効果がある食事とはどんなものでしょうか。
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そもそもなぜ汗をかくのか?
世の中的には汗を忌み嫌う傾向にありますが、汗というのは人間が生きていくうえで絶対に必要不可欠なものです。
一番の働きは、体温調節機能。体温があがりすぎると、それは生命の危機につながります。そして、上がりすぎた体温を適切な温度に戻すために「汗」というものが活躍するのです。汗をかくことで皮膚の表面から熱を逃がすことができるわけです。
なので、猛烈に暑いときや、風邪などで熱が出ているときなどには、汗をかく「べき」なのです。それによって、私たちの体は正常に保たれているわけですから。
ただし、必要以上に汗をかくとなると話は別です。最初に書いたように、洋服にバッチリ染みができてしまうくらい汗が出るとなると、快適な社会生活を営むためにも、多少なりとも何らかの対策を取らないといけないでしょう。
汗は交感神経でコントロールされている
私たちが体を動かすとき、たとえば「手をあげる」とか「足を動かして歩く」とか「見る」とか「話す」とかそういった自分の意思でコントロールして動かせる部分は、「知覚神経」や「運動神経」といった神経系統によって支配されています。
これとは反対に、自分の意思ではどうにもならない部分を動かしているのが「自律神経」です。心臓が動いたり、食べたものを消化したり、血管に血が流れたりといった部分です。汗をかくというのも、この自律神経の管轄です。
そして、自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2種類があります。その違いを簡単に表すと、交感神経は「興奮」、副交感神経は「安らぎ」。交感神経が活発になっているときには、緊張して心臓の鼓動は早くなり、汗をたくさんかきます。俗にいう「神経が高ぶっている状態」ですね。そして、副交感神経が活発になっているときというのは、リラックスして気持ちが落ち着いた状態なので、心臓の鼓動はゆっくり、汗もほとんどかきません。
これで分かるように、私たちが汗をかくのは交感神経が働くからなのです。
そして、多汗症の原因としてよく挙げられるのが「自律神経の乱れ」です。
交感神経と副交感神経のバランスが崩れてしまう→交感神経が優位な状態が続く→必要以上に汗をかいてしまう
このように考えられています。常に緊張状態にある感じですね。
このように、汗をかくのは交感神経が活発に働いているということを意味します。なので、汗を抑えるためには交感神経を鎮めて副交感神経を優位にする時間を増やせばいいわけです。
副交感神経に有効に働く食べ物
交感神経や副交感神経のバランスを整えたくても、実際に私たちの意思でコントロールすることは正直不可能です。自律神経のバランスを整えよう!と心に誓えばできるという類のものではありません。
なので、この目に見えない自律神経を整えるには、理論的に「自律神経に働きかける」ことがわかっている成分(栄養素)を取りいれることが最も確実な方法と言えます。
つまり、そうした成分(栄養素)を含んだ食べ物を摂取するのです。
汗をかきたくないのであれば、交感神経を抑えて、副交感神経の働きを高めなければなりません。
では、副交感神経の働きを高めるのに有効な食べ物というのは…?
食物繊維
少し意外でしたが、食物繊維は副交感神経の働きを優位にさせるのに非常にすぐれた栄養素なんです。というのも、食物繊維が豊富な食べ物というのは消化に時間がかかるため、腸の中をゆっくり通過します。腸で食べ物を消化している間というのは副交感神経が優位になっている時間。なので、腸内で消化している時間が長ければ長いほど、副交感神経が優位になっている時間が長くなるというわけです。
食物繊維が豊富な玄米やきのこ類、海藻類などをふだんからたくさん食べるようにしましょう。
イソフラボン
イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと似たような働きをします。エストロゲンは副交感神経を優位にする作用があるホルモンです。
よく、女性が更年期になるとエストロゲンの分泌が減少し、それによってイライラしたりホットフラッシュ(ほてり)の症状が出たりという、いわゆる更年期障害というのを聞いたことがあると思います。これは、エストロゲンが減少することで自律神経が乱れる(副交感神経があまり働かなくなって、交感神経ばかり優位になる)ことによって起きるのです。
なので更年期の症状には、エストロゲンと似た働きをするイソフラボンを摂って自律神経のバランスを整えるという対策が一般的です。
女性の更年期と同じような理屈から、イソフラボンを摂って副交感神経を優位にするというのが汗を抑えるためには有効でしょう。
イソフラボンは、豆腐や豆乳、納豆などの大豆製品に含まれています。大豆製品はできるだけ毎日食べたいですね。
酸っぱいもの
お酢やレモンなどの酸っぱい食べ物ってありますよね。酸っぱい食べ物というのは、副交感神経を刺激するそうなのです。
その証拠に、お酢やレモンや梅干しなどを口に入れると唾液がドッと出てきますよね。このように唾液がたくさん出るのは、酸っぱいものを毒と(勝手に)解釈する脳の反射的な作用なのです。この反射的な作用というのが、副交感神経反射と呼ばれる作用。つまり、酸っぱいものを食べる=副交感神経が優位になるという反応が起こるのです。
お酢は体にいいとはよく聞きますが、自律神経にもよい作用をしてくれるんですね。
食べ物での制汗は長い目で考えよう!
汗を抑える効果のある食べ物とは、つまり自律神経のバランスを整えるのに有効な食べ物ということです。
ただし、今日食べたら明日には汗が出なくなる、なんていうことは残念ながらありません。体質改善を目指すつもりで、長いスパンで取り組む必要があります。
即効性のある制汗剤も併用しながら、ゆっくりと「汗をかきすぎない体」を目指して食生活を見直してみましょう。