テレアポの会社・営業会社にとって、アポインターの確保は最優先課題です。
アポインターが少ない→アポ数が減る→アポインターどころか営業社員もどんどん辞めてしまうという悪循環に陥ってしまいます。
なので、質の良いアポインターがどれだけ多くいるかが、会社の業績を大きく左右する一番の重要ポイントとなるのです。
Contents
アポインターがすぐに辞めてしまう問題
いくら求人の募集をかけても、アポインターがなかなか育たない、すぐに辞めてしまうという悩みをお持ちの経営者・マネージャーも多いのではないでしょうか。
この問題を解消するには、まずなぜアポインターはすぐ辞めてしまうのかを考えてみる必要があります。
・アポが思うように取れない
・スクリプトを覚えることができない
・想像していたより大変
・最初に聞いていた条件と違う
・会社の雰囲気が悪い
他にもあるでしょうが、だいたいはこんなところでしょうか。
このうち下の2つは、会社の努力でどうにでもなります。しっかり条件を説明して納得した上で入社してもらい、その条件を適当な理由で変更しないこと、そして働きやすい環境を作ることは会社側の仕事です。
上の3つに関しては、採用したアポインターの「適性」と「育成」に関わる部分です。
適性とは、アポインターに向いているかどうかで、アポインター本人の問題です。育成とは、アポインターとしての技術を身に付けさせることができるかどうかで、会社側の問題です。
この両方が合わさって初めて、言葉は悪いですが会社にとって「有用なアポインター」が誕生するのです。
アポインターの適性と育成とは
世の中にはいろいろな仕事がありますが、アポインターというのは誰でもできそうな仕事と捉えられることが多いかと思います。応募する人が「ちょっとやってみようかな」と思う最初のハードルは低いでしょう。
ですが、実際にやってみると挫折する人が多いのも事実です。
経験者でもすぐに辞めてしまったり、逆に未経験者でも伸びたりすることはあります。なので、最初の面接と履歴書だけでは見えないものがあります。
たいていの会社は、適性があって放っておいても勝手にアポを取ってくれる人が応募してきてくれるまで延々と募集をかけ続けるか、適性がない人に対してもできる人と同じような指導をして3日で辞められてしまうか、といったところでしょうか。
まったく逆向きなのです。適性がある人にいかに適切な指導ができるか、適性がない人にはいかに適性を作りだせるか、そしてそれをスピーディーに行えるかということこそが必要なのです。
他の仕事と違い、1年かけて人を育てる余裕はありません。少なくとも数か月で結果を出すような人材に育て上げることが求められます。
適性を見極めるには採用してみないと分からないというのも事実です。ただし、適性がある人でもない人でも、採用後にうまく育てられるかどうかは会社次第なのです。
従来のやり方を変えてみる
適性と育成の両方をうまく絡めて育てていく。
この基本は変わらないのですが、石ころの中から偶然に宝石が出てくるのを待って、宝石が見つかったら磨いていくというやり方では、トータルで見ると「辞める人数>残る人数」になってしまう可能性があります。
例外もあるかもしれませんが、アポが取れるアポインターでもふつう1年~3年、長くても5年くらいで別の会社に移ってしまうことが多いでしょう。このくらいがアポインターがひとつの会社に勤めるマックスの期間ではないでしょうか。
つまり、ある程度の期間が経つと結果を出していたアポインターでも辞めていってしまうと考えた方がよいでしょう。採用してすぐに辞めてしまう人だけではなく、このようにある程度の期間生き延びて定着したかなという人が辞めていくというリスクも計算に入れなければいけません。
こうした人も含めて「辞める人数>残る人数」になってしまうと、会社はどんどんダウンサイズしてしまい戦力が小さくなってしまいます。
このことを考えずに従来通りの採用を繰り返していると、アポインターも営業社員も少なくなってしまい、気づけば営業の危機に見舞われていたという事態にもなりかねません。
採用や教育のしかたは十人十色。会社の方針もあるかと思います。扱う商材によっても、やり方は変わってくるので1つだけの正解はないでしょう。
ただ、今実際にアポインター確保不足問題に直面しているのであれば、思い切って「今までのやり方を180度変えてみる」ことが必要です。
とりあえず、逆をやってみる
質より量の採用をしてきた会社
大量にアポインターを採用して、数打ちゃあたる的に月に数本契約があがればいいという考えで、「質より量」を重視してきた会社なら、逆に指導の量を圧倒的に増やしてみてはいかがでしょうか。
特に大量採用ができているのであれば、指導が正しくできれば今よりもっと残る人数が増えたり、残る期間が長くなったりする可能性はとても高いです。
会社側の作業的な負担は増えますが、結果が目に見えて上がりやすい方法をご紹介します。
スクリプトを徹底して作り込む
ここで言う「指導」とは、研修時間を多くするとか、アポインターが勉強する機会を多くとるとか、そういった類のことではありません。
逆に、なんでもかんでもアポインターの裁量に任せるというスタンスをやめて、すべてこちらで管理しましょうということです。
どんな仕事であっても「自分で考える」ということはもちろん大事です。ただ、アポ取りに関してはそれこそセンスのみに頼ることになります。「これなら絶対に結果が出る」という道筋をちゃんと示してあげることが必要なのです。そのためにはおざなりなスクリプトでは話になりません。「基本はこれだけど、あとは自分で考えるように」では、本当にセンスがある人しかアポなんて取れません。
「絶対にアポが取れるスクリプトなんてないよ」と思うのであれば、自分ができないことをアポインターのセンスだけに一任してしまっている時点で間違っていると認識しましょう。
細かくスクリプトを書き揃えます。「こういう断りに対してはこのスクリプト」というように、いちいちマニュアル化します。想定していない断りが出たらそこで諦めさせます。
このように、スクリプトを徹底的に練りあげて、それを使えば必ず数本は取れるという自信のあるものを作り上げてください。それでもアポが取れなかったり、きつくて辞めてしまう人が多発するようであれば、それはあなたが作ったスクリプト「だけ」が問題なのです。
問題点は少ない方が対処しやすいです。アポインターの資質がどうのこうの、技量がどうのこうの、やる気がどうのこうのと複数の問題に対処しようとするから、どれも中途半端になるのです。
アポの数が少ない=スクリプトが悪い
問題点は明確なので、スクリプトをどんどん改良すればいいだけです。取れるスクリプトを作れば問題は解決します。
大量採用をしているのであれば、悪い言い方ですが兵隊はたくさんいるわけです。使える兵隊・使えない兵隊をふるいにかけて使える兵隊だけ残ればいい、という考えでは、使える兵隊さえすぐにいなくなってしまいます。
なので、能力に関係なく「勝てる武器」を与えることで、最初から数も多く的中率も高い状態にしてしまうのです。
アポの本数が上がるようになれば、アポインターは辞めずに続ける人が多くなるので、一気に悪循環から抜け出すことができます。
大量に定期的に求人募集をかけるとなると、募集広告の費用もばかになりません。できるだけ質がよくて掲載料の安い求人広告を出せる工夫も考えてみましょう。
量より質で採用してきた会社
逆に、最初からある程度適性がありそうな人を厳選して採用し、しっかり教育して大事に育て上げるという「量より質」派でやってきた会社であれば、逆に今より少しだけ採用の幅を広げてみてはいかがでしょうか。
少数精鋭というのは聞こえはいいですが、実際はリスクが大きいやり方です。大切に育て上げても辞めてしまうリスクを常にはらんでいるということを考えると、ある程度のリスク分散が必要になります。
厳選して少ない人数を採用→しっかり指導→期待外れ(会社側もアポインター側も)で全員辞める
母数が少ない分、辞めてしまう確率はどうしても高くなってしまうのです。
適性がなさそうな人でも採用する
適性があって指導でさらに伸びる人だけではなく、適性はないかもしれないけれど指導次第で伸びる人を積極的に採用するようにするのです。
この場合も、会社側の負担は増えると思います。ですが、最初からできそうな人だけを探そうとしても無理なのです。
適性がなさそうに見える人をいかに育てるか、しかも短期間で結果を出すかということに重点を置くようにします。
このタイプの会社であれば、指導のノウハウもあるはずです。ただ、それが「適性がある人」だけに対する指導になっていないか検証してみてください。
では、適性がなさそうな人に対する指導はどのようにすればいいのでしょうか。
トークを分割して分担させる
そもそも商材を販売するまでの業務を、アポインターと営業マンに分けて行っているのが営業会社のやり方です。
電話でアポを取る人を「アポインター」、実際に契約を取る営業マンを「クローザー」と言いますね。
これを、アポ取りの中でも行うのです。というと面倒くさそうですが、早い話が、慣れない・センスがいまいちないアポインターの代わりに、最後の「詰め」の部分だけはあなた(もしくはSV)がやってあげるのです。
もちろん、ずっとそれを続ける必要はなく、最初の1か月程度で十分です。
アポを取るときに、一番大きな壁となって立ちはだかるのは最終的に「約束を取り付ける」部分です。相手の同意を引き出し日時を設定する部分です。ここができないとアポインターではないのですが、適性のない人にいきなりそれを求めるのはハードルが高すぎます。
せっかく話ができるようになっても、ここがクリアできなければ絶対にアポにはなりません。なので、この段階で「いくらやっても取れない」と挫折して辞めてしまう人が多いはずです。
適性がある人というのは、何度か試行錯誤を繰り返すことで自然とできるようになったりするのですが、適性がない人が自分で自然とできるようなことは絶対にありません。口頭でコツを教えても理解できないはずです。そのくらい感覚的な部分でもあるからです。
なので、最後の「約束を取り付ける」部分の手前まで話を続けることができたら、電話をバトンタッチです。実際に「できる人」が、できないアポインターの目の前でやってみせるのです。これを繰り返すことで、適性がなかったアポインターでも疑似的ではありますが「アポが取れる」感覚を肌で感じることができます。これを感じることができるようになったら、だんだんと自分で最後の日時設定までできるように担当範囲を広げてあげればいいのです。
適性がある人に対する指導と適性がない人に対する指導を変えることで、適性がない人も「アポが取れるアポインター」に育てることができるのです。これさえできれば、今までの倍以上の人材確保ができアポ数も確実に増えるでしょう。
ゴールを想定して、そこから逆算する
大量に採用しても適切に指導をしなければ、いくら素質のある人材がいたとしても残ることはありません。
また、少ない採用で確実にあたりを引き続けることができれば一番いいのは当然ですが、そんなにうまく行くこともありません。
採用・指導という過程より、まずはゴールを見ましょう。何人のアポインターが必要なのか。そこから逆算していけば、どういう採用をして、どういう指導をしていくのがベストなのか、自ずと答えが見つかるはずです。