「お灸」と聞くと、なんだか年寄りくさいなとか、熱そうとか、そういうイメージを持っている人が多いと思います。
そして、その年寄りくさいイメージとは裏腹に、最近では20代~30代の女性にもお灸人気がじわじわ浸透してきているというのです。ちょっとビックリですが、やってみるとなるほど納得。老若男女問わず、お灸初心者でも自宅で簡単にできる方法をご紹介します。
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自宅で自分でお灸をすえる方法
お灸は火を使うのでなんとなく怖い、やけどするんじゃないかという心配も多少あったのですが、実際にやってみると本当に簡単で安全。
とりあえず、お灸と言えば「せんねん灸」ということでいざドラッグストアへ。棚の隅っこの方で発見したのですが、実は一番オーソドックスな「せんねん灸オフ」でもレベルに合わせていろいろな種類があるようです。
初心者は温熱が比較的弱い商品でまずはお試し
「ソフトきゅう・竹生島」「レギュラーきゅう・伊吹」「みそきゅう・湖国」「しょうがきゅう・八景」「にんにくきゅう・近江」の5種類。みそとか、しょうがとか、にんにくは、実際にその成分が含まれているそうです。
この温熱表にあるように、熱さが5段階にわかれているのです。初心者は「ソフトきゅう・竹生島」から始めることが推奨されています。
お灸をするときのポイントですが、熱ければいいというものではありません。じんわりとした温熱でツボを刺激するものなので、自分に合った「ほどほどの熱さ」を見つけることが大事です。
というわけで、私は初心者にもかかわらず「ソフトきゅう・竹生島」をすっとばして「レギュラーきゅう・伊吹」からスタートしてみました。理由は、マッサージでも毎回「けっこう強めでお願いします」と念を押さないとツボに効かない身としては、ソフトきゅうではちょっと物足りないのではないかと感じたからです。
逆にツボ押しに弱い人や皮膚が弱い人などは、まずはマニュアル通り「ソフトきゅう・竹生島」から始めて様子を見るのがよいでしょう。
セルフお灸をいよいよ実践
80個入りで税込み840円くらい。一瞬「割と高いな」と思いましたが、最初は一度にそんなに大量に使うわけでもないので、840円で数週間使えたら十分かと思います。
ガッツリ入ってますね!写真でも分かるように、お灸に台座がついています。台座には穴が開いていて、熱さを調節しながらもぐさの熱をじょうずにツボに伝えてくれるようになっているのです。
ツボを見つける
お灸どこにでも好きな箇所にやればいいというものではありません。お灸をすえる箇所はツボ。
このツボ、なんと体中に存在し、その数は365箇所もあると言うのです!いきなりそんなにたくさん覚えられるわけがないので、初心者でしたらまずは数か所の有名なツボを押さえておくだけで十分でしょう。
初心者ならまず「合谷(ごうこく)」
手の親指の骨と人差し指の骨が交わっている箇所から若干人差し指寄りにあがったあたりです。くぼんでいる部分を押してみると、ちょっと痛気持ちいい箇所があるはずです。ここが「合谷(ごうこく)」と言われるツボです。
実はこの「合谷」は万能のツボと呼ばれています。目の疲れ、肩や首の凝り、ストレス、胃腸の疲れなど、現代人が一般的に「なんか調子悪い」と思う際に感じる症状全般に効果があります。
はじめてのお灸では、まずは場所的にお灸をすえやすく、しかも多くの効果が期待できるこの合谷から始めるのがいいでしょう。
見つけやすい腕のツボ「曲池(きょくち)」
曲池(きょくち)はひじを曲げたときにできるシワの一番端っこのあたり。くぼんでいるところです。目の疲れ、肩や首の凝り、胃腸の疲れ、肌荒れなどに効果があるツボです。
下半身なら「足三里(あしさんり)」
足の外側、膝のお皿の下から指四本分下がったところにあるくぼみの部分です。ここも、指で押すと痛気持ちいい感じがするはず。
全身の血流をよくしてくれるツボです。足の疲れやむくみを取るだけでなく、胃腸の疲れを改善してくれたり、夏バテ防止や冷房病対策(冷え性対策)にも効果があります。この足三里も万能養生のツボと呼ばれています。
足裏のツボ「湧泉(ゆうせん)」
足の裏側、人差し指(第2指)と中指(第3指)の骨の間で、土踏まずよりやや上の部分です。足の指を曲げてみて、へこんだ部分を探すと分かりやすいでしょう。
足の疲れを取ったり、冷えの解消、さらには首の凝りを取る効果もあります。全身の疲労回復や婦人科系の症状にもいいとされています。
ツボを見つけたらいざお灸をすえる
まずは手で押してみて自分のツボの場所を確認できたら、お灸の台座についているシールをはがしてライターで火を付けます。
着火したお灸をすかさず「ツボ」に貼ります。裏は粘着面になっているので、ピタッと皮膚に貼りつけることができます。
ひとつ大事な注意点。けっこうな量の煙が出ますので、必ず窓を開けるなり換気扇を回すなりして、部屋の換気をしながら行うようにしましょう。
最初は全然熱くないのですが、もぐさが燃え進むにつれて徐々に熱さをじわりじわりと感じるようになります。だいたい4~5分くらいで燃え尽きます。そして、燃え尽きる直前が、熱さが最も強くなります。「熱すぎ!痛い!」と感じるようであれば、我慢せずにお灸を外してください。
火が消えてからもじわじわと心地よい熱さがしばらく続きます。熱が出ている間はもぐさの効果は継続しているので、台座が完全に冷えてから取り外すようにしましょう。
セルフお灸で感じた効果
まだ始めてから1週間ほどですが、個人的に一番感じている効果は、寝つきが異様によくなったことです。
ベッドに入る30分くらい前にお灸をしているのですが、ベッドに入るとびっくりするくらいばたんキューです。今までは20~30分はベッドでスマホを見たりなんだりかんだりしていたのですが、とてもそんなことをしていられないくらい「ストン」と眠りについてしまいます。
そのせいか、寝起きもすこぶるいいです。私は以前から寝るときにスマホの睡眠アプリを使って眠りの質をチェックしているのですが、睡眠アプリの波形が今までと違います。一晩中深い眠りが続くようになりました。ピクリともせずに寝ている感じです。アプリなのでどこまで正確かは分かりませんが…
↓お灸をぜんぜんやっていなかったころ
↓お灸をやってから
自分でも「ほんとかよ!」と思いましたが、まあ何でも気の持ちようというのもあるので、これもお灸効果と思うようにします(笑)
「肩こりが消えた!」とか「視力が回復した!」とか「ぎっくり腰が治った!」とかそういう劇的な変化は、まだ特に起こっていません。
そもそも、お灸というのはじっくりゆっくり体の中から治癒していくという東洋医学なので、しばらく時間をかけて続けてみて、少しづつ効果が出ればいいかなくらいに思っています。
アロマ効果もあるらしい
好き嫌いは分かれるかと思いますが、お灸に使われている「もぐさ」の香りがアロマ代わりになって、リラックス効果を発揮するという側面もあるようです。
さらにもぐさの香りが苦手という人にも、せんねん灸からはその名も「アロマ灸」というお灸や、「はじめてのお灸moxa」というもぐさに果物などの香りを混ぜ合わせたお灸も発売されています。
熱の強さだけでなく、自分に合ったお灸を探していろいろ試してみるのもいいかもしれません。コツは長く続けられるものを見つけることだと思います。
セルフお灸の注意点
これ以外にも、お灸を買うとついてくる使用上の注意などを必ず読んで、決められた使い方を順守するようにしましょう。
楽しいお灸ライフを!
お灸には3,000年もの歴史があるそうです。その起源は中国ですが、日本にも比較的早く取り入れられて遣隋使とか遣唐使とかの時代に中国から入ってきたようです。その後江戸時代になってから新たな流行となって、そこから数えても数百年にわたって日本でも「灸」治療は続いていることがわかります。
歴史があるということは、それだけ先人たちの智慧が積み重ねられたものであると言えるでしょう。
今はせんねん灸をはじめとして、手軽に自宅でできるお灸がたくさん売られています。噂によれば、お灸は体調を整えるだけでなく、美容にも効果があるようです。
まずは自分に合ったお灸を探してみて、リラックスしながらお灸の時間を楽しんでみるのもいいと思いますよ!